アネキウス暦7403年、三足族の王国リタントは五代リリアノ王の御世であった。
王位継承が世襲ではなく、
神に選ばれし印を額に持って生まれた者が王位継承権を持つリタント王国。
母親を亡くしたばかりの、農村で暮らしている14歳の主人公の元へ城からの使いがやって来る。
幼い頃から「みっともないから隠していなさい」と母親に言われていた額の痣は、
神に選ばれた次期国王候補である証だと言う。
しかし、迎えられた王城には既に主人公と同じく王位継承の印を持つ、現国王の甥である『ヴァイル』がいて......。
次期国王候補として王城で五ヶ月を過ごしながら、
様々な立場や思惑を持つキャラクター達と交流していく育成シミュレーション。
攻略可能キャラクターは男女ともにいるので、男性女性どちらのプレイヤーも楽しめる。
この世界の人間は生まれてから15歳になるまでの間は、男でも女でもない未分化の状態。
主人公もゲーム開始時点では性別が無く、五ヵ月後のエンディング直前に性別を選択することになる。
主人公は1週間の内の前半と後半を武術の訓練や礼節などの勉強をし、中休みと週末に登場人物達との交流を行っていく。
主人公は次期国王候補として城に連れて来られはするが、必ずしも国王を目指す必要は無い。
国王になることはあくまで『数あるエンディングの一つ』でしかないのだ。
城には、現国王であるリリアノ、リリアノの甥で主人公のライバルである次期国王候補のヴァイル、リリアノの息子である王子のタナッセ、主人公付き侍従のローニカ、同じく使用人(メイド)のサニャ、
騎士のグレオニー、司書のモゼーラ、神官のティントアなど個性豊かな人物達が登場する。
攻略可能で個別エンディングのあるキャラは、上記の8人+隠しキャラ3人の総勢11人にも及ぶ。
攻略可能なすべてのキャラクターに、友情エンド、愛情エンド、憎悪エンド、裏切りエンド、殺害エンド(!)が用意されており、
それぞれのエンドも友情エンドAバージョン、友情エンドBバージョンのように分かれている。
さらに王になったバージョン、王にならなかったバージョンと分かれているため、エンディングの数は膨大だ。
やり込み好きなプレイヤーには堪らない要素の一つとなるだろう。
一度プレイしただけでは冠を持つ神の手の十分の一も遊んだことにはならない。
一度のプレイ(1周)が2時間程度と短いので、気軽に何周もプレイ出来るのが嬉しい。
何周かプレイしている内に、冠を持つ神の手の丁寧に作られた世界観に引きこまれていくはずだ。
特にシステム的に斬新な物が、プレイヤーが入力出来る『印象度』システム。
キャラを攻略出来るゲームでは『攻略対象から主人公への好感度』があるゲームは珍しくないが、
この冠を持つ神の手には『主人公から攻略対象への好感度』が存在する。それが『印象度』だ。
キャラからの好感度、主人公からの印象度。
この2つの状態で登場人物の主人公への態度が変化したり、選択肢の種類が変わったりする。
好感度と印象度はそれぞれ愛←→憎、友←→嫌の2つの軸で構成され、
そのバランスによって、「愛してるけど気に入らない」「憎いけど気になる」などの微妙な心境が表せるようになっている。
この印象度システムが王城内の人間関係に深みを出すことに一役も二役も買っている。
○主人公の一人称を「俺」「僕」「私」から選べる。
○イベントの直前まで戻り、イベントをやり直せる『イベントバックボタン』。
○ゲーム中にいつでも見られる設定及び用語辞典である、『グラドネーラ辞典』
○クリア済みのイベントやエンディングを確認出来る『イベント一覧』
○ゲーム内のBGMを聞ける『使用楽曲視聴』
などのプレイヤーへの細かい配慮も嬉しく、好印象。
一度でも個別エンディングを迎えたキャラは、そのキャラの他の個別エンディングへのヒントが見られるようになっている。
※オープニングムービーについては現在のFLASH規格の再生環境につき、本体ver1.53より削除されている。ただし公式サイトから閲覧は可能。
ゲームポイント
吉里吉里2/KAG3で製作
プレイ時間:1周2時間程度
エンディング数が膨大
美麗なオープニングムービー
[冠を持つ神の手]の詳細
- 頒布形態
- フリーウェア
- カテゴリ
- シミュレーションゲーム
- 年齢制限
- 全年齢
- 対応OS
- 95 98 Me 2000 XP Vista NT 7
- 制作者
- 小麦畑
- 本体サイズ
- 103MB
- Version
- 1.53
- 最終更新日
- 2016年2月 6日
- お気に入り
- 票12票
全て星5です。フリーゲームで一番大好きで、今でもたまにやったりしてます。何回やっても楽しいゲーム!
このゲームを起動すると、パス名の最後には '>' または '/' を指定してくださいと出てしまい、
プレイする事が出来ません。解決方法を教えてください。
不朽の名作。今やっても十分面白い。
今更ながらにレビューをさせていただきます。
【脚本】一本の小説が書けるほどに、世界設定やキャラ設定が線密に組まれています。また物語展開も非常に豊かです。申し分ありません。
【視覚】派手な演出やボイスなどは一切なく、基本としてBGM(SE)、背景画、キャラ画、文章によって場面場面が表現されています。シンプルさ故に際立つ、適格で豊富な語彙による文章表現に飲み込まれること請け合いです。
【音楽】フリーBGMを利用しているようです。基本的にキャラごとにBGMが設定されていますが、実に適当なチョイスでキャラの印象を際立たせます。
【操作】操作性は何の問題もなく、バグも見当たりません。ゲーム内容として若干のランダム要素がありますが、クイックセーブ&ロードでどうにでもなります。これが面白くもあり面倒でもあります。場合によっては結構時間がかかる要素になっています。そのために有料の攻略支援版もありますが、購入しなくても慣れれば問題ありません。
【独創】独創性の塊です。
【総評】フリゲ界でも5本の指に入る素晴らしい作品です。全体としては女性向けなノベルゲームという印象を受けましたが、男性である私でものめり込みまくりました。小説好き、空想好き、設定厨、キャラに感情移入しやすい人なんかは、このゲームに時間を奪われることでしょう。私はこれで学生時代の夏休みを一つ潰しましたから……。
クオリティはフリーゲーム最高峰といっても過言じゃないと思う。とにかくシナリオの分岐・テキスト集が膨大すぎて一度入ったら最後抜けだせない底なし沼のようなゲーム。もうすでに何十時間も費やしている。
普通の恋愛ゲーとは違い、好感度の他に主人公側からの印象度も設定でき、嫌いな相手には印友をマイナスに振ると実際に忌避判定が発動し、遠ざけることができる。5か月というゲーム内の限られた時間の中でこの忌避判定も上手くつかってイベントを起こしていくのでエンドによってはスケジュール管理が非常に難しく、攻略をみても失敗することがある。リロードは必須。だが、実際にイベントを起こせると達成感は凄まじい。
気に入ったら攻略支援版の購入をオススメしたい。
細かいものを含めたらエンディング数は200を超える大作です
BGMはフリーのものですがイメージにぴったりであります。
脆弱性の問題からオープニングムービーがなくなってしまったことが残念でなりません