伝承と真相、祟りと祈り
昭和40年11月、某県A地方山間部を強震が襲った。
その影響で一部家屋は倒壊し、地割れや土砂災害のために停電が発生するも、
不幸中の幸いか人的被害はごく少数に留まり、被災地は徐々にかつての姿を取り戻して行くものと思われた。
ただ一つ、不吉な伝承の残る村を除いては。
その村――稲木津(いなぎつ)村の伝承曰く、『不吉な『鳴く流星』は禍をもたらす獣の化身である』。
そして『儀式をして禍の獣を封じなければ、獣は厄災を振り撒き、更には子供を攫って食らう』のだ。
その年、鳴く流星があった。だが儀式を疎かにした村人への天罰のように震災が起こり、
伝承をなぞるように子供たちが次々と姿を消し始める。
恐怖し後悔し憔悴した村人は、遂にある祓い屋を頼るのだった。
だが、祓い屋には既に『稲木津村』に関連する奇妙な手紙が届いており――
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レトロ伝奇ミステリー調オカルトノベルです。
ちょっとした分岐があり結末が4つに別れます。
別所で公開している「末枯れるひがんのかたわれの」というノベルの続編に当たるためそちらを先に読んでいただけた方が設定等の理解は早いと思いますが、雰囲気だけで読み進めてしまっても多分大丈夫だと思います。
襖の画像を修正しました。物語上特に意味があるわけでもない妙な部分を残してしまい申し訳ございませんでした。
些細なことではあるのですが、背景の襖の引手の位置がおかしいのが気になってしかたがないです。4枚の襖の場合ああじゃない、と。