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  • ボクカゾクへのコメント(2024年7月19日 01:28)

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    世に存在するあらゆるエンタメは、基本的に読者を楽しませるものになっている。苦しみだけが色濃く綴られた創作物というのは、必然的にこの世に少ない。苦しみが描かれている作品であっても、殆どはその苦しみをエンタメとしてパッケージングする。自分が作る作品だってそうしてしまう。苦しいだけのものでは面白くないとされるから。

    快楽を与えてスッキリさせる物語が溢れている世界だからこそ、そうでないものが重要で、この作品は本当に貴重な作品だと思う。恐らく損や得だとかではなく、絞り出さずにはいられなかった苦しみが綴られている。最後までやってもそれが伝わってくる。

    この作品が世に出たことを本当に幸いに思う。例えこの世の何処かにある苦しみでも、見える形で残されなければ無いのと同じ扱いになってしまう。我々の耳には声を上げた人間の声しか届かず、バイアスが掛かることは避けられない。

    この作品に出てくる「只管オウム返しして揚げ足を取った様な気になる人間」というのも、自分も現実で遭遇したことはあるが、フィクションで見たことは殆どない。自分も通常フィクションで見る分には余り好まない。読者をスカッとさせる為のやられ役か単なる不快要素になるかの二パターンになると思うから。だが、ノンフィクションとして出された、原液に近い体験の話で、その様な人間の生の姿が綴られていることには非常に高い価値があると思う。ノンフィクションの、解像度の高さが現実と同じになる描写には、本当に掛け替えのない価値がある。苦しんだ人に不謹慎な言い方ではあるが。


    知れてよかったです。作者様、お疲れ様でした。