一本道のサウンドノベルです。中世ヨーロッパをモデルにしたファンタジー。複数の視点から、小さな街で起こっている事件を眺め、その人の立場や心情を描いています。主人公達に迷いは少なく、それまでの人生を背景に、なるべくしてなる結末へと物語は進んでいきます。勧善懲悪ではありませんが、いろんな価値観で一つのことを見れるので、それを面白いと感じられる方には受け入れやすいかもしれません。
≪簡単な世界観説明≫
世界を支配する大ミラビリス帝国。その帝国の頂点に君臨する『六大貴族』。彼らは人の世はおろか、魔の棲む辺境の地まで支配したという。栄華の極みにあった彼らが、強大になりすぎた帝国と共に忽然と世から消えた時、ようやく『人』という種は、自らの足で立ち、進歩していくことになった。
しかし、歴史の闇の奥底に『六大貴族』が残した歪みが、大帝国崩壊より200年後ジロフトという小さな街を、不幸のどん底に陥れる。跳梁する魔物と、それを狩る者達、そして、ただ平穏に暮らしていきたい人々の思いが交差し、禍々しい世界の真の姿が、おぼろげに映し出されていく。
≪ストーリー≫
辺境の小さな村に住む、ディオーネという女の子。彼女は、いくつかの悩みを抱えていた。
一つは、母親の事。ディオーネが小さい頃に、家を出て行ってしまった母。今いったいどうしているのか?どこにいるのかもわからない。幼い頃の記憶が、事あるごとに彼女の脳裏をかすめ、困らせる。
もう一つは毎晩のように見る夢。燃え盛る城を背景に、ディオーネが男を引きずって逃げまとう夢。城の前には、人々を恐れ震え上がらせる魔物の群れ。しかし、ディオーネは魔物を怖がっているのではなかった。その魔物を剣一本で蹴散らしている血だらけの女。彼女が、明確な殺意を自分を男に持っていのを何よりも恐れていた。夢の終わりにはいつも、その女に胸を貫かれてしまうのだった。
そして最後に、父親の事。『人でなし』というに相応しい父に、ディオーネが思い切った反抗をするところから、物語は始まる。
原文:【神山 孝さん】