バイクで事故を起こして病院に運ばれた真田巡。初めての入院。慣れない入院生活の中で巡はひとりの少女に出会う。
長期間入院しているという少女の名は桐島香奈。香奈は長い入院生活を感じさせず明るく振舞っていた。そして巡の前に現れた幽霊、瀬川すず。妙に明るいその幽霊は巡にしか見えないようだった。すずは自分に気付いてくれた巡につきまとう。
入院生活は香奈とすずにつきまとわれて思いの他騒々しいものだった。その中で巡は手術に怯える心を閉ざした少女がいることを知る。母親にも看護婦にも心を開かず人形に語りかける少女。巡達はなんとか手術をさせようと画策するが…
病院という特殊な空間の中で巡は患者達の心に触れ、看護婦達の心に触れる。やがて人の心の温もりを感じていく。まともな生活の中で気付かなかった様々なこと。生と死が隣り合うこの場所で。生とはなにか、死とはなにか。命の尊さに気付かされていく。
そして、本当の強さとはなにか。本当の幸せとはなにか。
原文:【吾妹木綿さん】