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  • すた☆でびへのコメント(2025年4月 6日 20:54)

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    ゲームの紹介ページには、可愛らしいメルヘンなサムネイルと、それに反する危険描写への警告文が。
    この時点で本作がどのようなゲームであるか大方想像できると思います。
    しかし、本作はその認識を軽く超えるものを繰り出してきます。

    まず初めに、主人公のパートナーが過激な差別者であるところが、本作の特異性を表しています。
    さらに彼だけでなく、仲間たちも敵への容赦というものが一切ありません。味方同士の団結も薄く、一人一人の目的が偶然同じ方向を向いているから共に行動する、そんな感じがあります。正義と悪はなく、あるのはそれぞれの立場、生い立ち、そしてそれらから成るエゴだけ。万人の万人に対する闘争。本作にはこの言葉がとても良く似合います。

    加えてシナリオも容赦がありません。メルヘンな世界観でありながら、現実での出来事を想起させるイベントが多く、それらが絶え間なくプレイヤーを襲います。特にいじめ、自傷、性暴力の描写が多く、これらのうち一つでも受け入れられない要素がある方は、決して本作をプレイしてはいけません。

    上のような要素から、本作ははっきり言って、"嫌なゲーム"であるといえます。
    それなのにやめられない、シナリオが進むことによって、状況が良くなる期待などこれっぽちも持てないのに、
    先へ進まなければ、結末を見届けなければと思ってしまう。そんな強烈な魅力が本作にはあります。

    また、本作のような種族間の対立を描く作品は、作者の主張が強くなりがちなのですが、本作はそれほど感じませんでした。これはそういったことより、作者が対立構造の中で起こる人間の本性を描くことに重きを置いているからだと思います。自分にはこれがとても新鮮に感じました。

    自分もそれなりのフリーゲームを遊んできましたが、ここまで強烈なものを手に取ったのは久しぶりです。
    本作はSeraphicBlue、Another moon Whistle、タオルケットをもう一度2、鬱夫の恋、すでに私たちは地獄のまっただ中でしたといった、かつての問題作に並ぶほどの作品だと思っています。そして令和にこういった作品が現れたことに、私はかなり懐かしさを感じています。自分はこういう作品がしたかったのだと、心の底から思うことができます。

    本作はフリーゲームだからこそ実現可能な作品です。そしてそういった作品を求めている方に是非本作を手に取っていただき、本作の中で展開される"ヒトの形を持たぬ、ヒトよりもヒトらしい生き物"の生きざまを目に焼き付けてほしいと、私は一プレイヤーながら願っております。

    ※汚物描写があります。片手間に何かをせず、プレイに集中することをおすすめします。
    ※敵や宝箱から手に入るお金はノミ同然です。街の中で楽に稼ぐ方法を早く見つけてください。
    ※街は終盤使えなくなります。上記の稼ぐ方法を含め、買い物は出来るうちに買えるだけ買っておきましょう。
    ※分岐は最終盤までありません、よほどレベルを上げすぎない限りグッドエンドにたどり着けるでしょう。