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  • あすなな-アストリア王国騎士団第七小隊-へのコメント(2020年8月20日 06:01)

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    ※長いので面倒な人は一番下の【総評】だけ読んでください。


    戦闘回数約1600回、逃亡数0回、プレイ時間(戦闘中以外)約40時間。マップの端から端まで探索し、NPCの会話文もシナリオ進行の度に変化がないか、何度も王国中を往復しながら確認しつつようやくクリアしたので記念にレビューします。

    まず良かった点からですが、作者様が力を入れたというシナリオについては非常に素晴らしいモノでした。この"あすなな"は私が知る限りのどんな作品と比べてみてもトップクラスの作品だったと思います。
    政治、戦争、友情、家族、戦う理由など、これらをテーマに物語が進行していきますが、全体的にギャグ成分が多く、特に"チャット"でしか語られない秘話(場合によってはアイテムも手に入る)などもあるので、これがゲームプレイの楽しみの一つとも言えます。中盤以降からはシリアス展開が多くなり、笑える部分が減りますが、20日間で主人公のアリアがどう成長するのか、第七小隊やアストリア王国はどうなっていくのか...それも見どころのひとつです。
    王道モノということなので、大体の展開は予想がついてしまうことも多々ありましたが、「いや、そうはならんだろ」とか「なんでこうしないんだ」とかの細かい事は気にしないほうがより楽しめます。それが王道ですから!
    逆に予想外の展開も多く、先が全く読めない状況もあるので驚くことも...

    戦闘については、アニメーションが凝っていて、雑魚を除いて敵味方共に技によってはカットイン演出もあります。手動操作が面倒なら"突撃"を選択すればそのターンは勝手に戦闘してくれますが、思うような動きをしてくれないことが多かった印象があるので、手動操作のほうが早く決着が済むかもしれません。
    このゲームではシンボルエンカウントを採用していますが、回避しやすいかと言われたらそうでもありません。マップによっては狭かったり敵の動きが早かったり、追うわけでもなく挙動不審な敵までいます。戦闘で逃げるにしても、連続戦闘勝利ボーナスというものがあるので、これがなくなればHPやSPが回復しなくなるので不便です。
    "オプション"と"ステータス"のメニューがないので、アニメーションやカットインのOffが出来ず、現在のキャラ能力値を見るなら装備項目から確認する必要があります。ついでに装備は入れ替えは出来ますが、外すことは出来ません。
    ダンジョンの敵が出現しなくなるようなアイテムも存在しないので、人によっては戦闘システム面でとてもストレスに感じるかもしれません。

    ただ、難易度はぬるいので詰むことは余程敵を回避して来たとかでもなければないとは思いますが、雑魚はともかく、ボスが総じて弱すぎるんじゃないかと感じました。あっけないというか、「あれ?こんなもんなの?まだ何か奥の手があるんじゃ...」と思うくらいには弱いです。
    ついでに言えば、バフかけたりして小細工するよりも、最初から全員で大技決めて殴ってたほうがすぐに終わります。なので脳筋ゴリ押しプレイが通用しちゃいます!
    回復手段も他にあるので、最悪このゲームの回復系アイテムを一度も使わずともクリア出来るかもしれませんし、更に言えば適当にやらなければゲームオーバーになることもないはずです。(私はゲームオーバー画面すら見たことがないままクリアしてしまいました)
    要は戦闘が単調なので、雑魚でもボスでも作業感が否めないのが欠点かなと思います。
    音楽については、BGMとSE共に良いと思います。癖が強いわけでもなく、シンプルで世界観の雰囲気に合っています。このゲームを楽しめた人なら、クリアすればOP(ED)のBGMが心に残ると思います。

    世界観について、ストーリーを引き立てている要因として、世界観も良く考えられていると思います。"300年の歴史"と時の流れ、種族間や国家間の関係や家系など、これらをある程度明確にしていることにより、プレイヤーも物語への感情移入がしやすいと思います。
    記録がなく、不明となっている情報や誇張されて伝わった話など、作中で後からそれらを知ることができるのも魅力的です。
    キャラクターについて、特に女性キャラは皆可愛らしい感じに思います。男性キャラもイケメンだったりゴツかったり、更にはハゲ...だったりと様々でしたが、イメージと性格が一致しているし、物語の進行で成長したり変わったりする様を見ていて楽しいです。


    これ以上書くとキリがないので、最後に悪かった点や残念だった点について...
    まず、この"あすなな"において一番の苦痛はカジノだと思います。ここでは景品でレアアイテムを入手出来ますが、実際に運に任せて稼ぐとなると赤字にしかならず、ほぼ無理ゲーです。リセマラ?するにしても肝心のセーブポイントはマップの下、しかも一度フェンスの扉を開かなくてはならないので、余計なモーションで更に移動に時間が掛かります。
    カジノはマッドシティの北側にあるので、セーブポイントはカジノ前に置いて欲しかったと思います。
    因みに私は往復するほうが面倒だったので、正攻法でスロットで稼ぎました。

    次に終盤及びラスボス戦後について、不満というか少し物足りないなと感じました。制作を急いだからかサブキャラに話しかけても一方通行の会話のみで、序盤中盤のようなアリア達の返答文章が無かったり、結局魂は解放されたのかどうかのやり取りや、あすななのメンバー以外のサブキャラや脇役たちについてのラスボス戦後はほとんど触れられず、物語が幕引きするので「わー、終わっちゃったー!」ってなちゃいました。ちょっと欲張っちゃいますが、クリア後のオマケ的なものが欲しいなと思いました。城の本棚に第七小隊の項目が追加されるんじゃないかって期待していたのでちょっと残念。

    次は文章の誤字脱字やメニューのマップの表記ミス、マップチップのすり抜けや配置ミスについて、序盤から中盤にかけてはほとんどないです。でも中盤以降から、少々目立って来たかなって感じです。とはいえ、私が確認した限りではゲームの進行に影響を及ぼすほどのものは確認していないので、問題はないと思います。けれどこれだけあると(確認しただけでも10個かそれ以上)、時間さえあれば修正して欲しいなという気持ちも少なからずあります。強いて言うならオールト岬のイベントがあった地点(転移門とセーブポイントの間)が見えない壁によって分断、通行不能になっているのと、ローウェルの洞窟のイベントで小舟の前で待機している3人が放置されたまま永遠にララ隊長を待っているのはあまりよろしくないと思いました。(まあそれはそれで面白いですけど)

    最後に、一番残念に、勿体ないと思ったのがアストリア中に残された"ダンジョンまたは扉のその先"についてです。これらはいずれ追加される予定だったまま放置されているようで、先が気になるプレイヤーとしてはもやもやした気持ちが残ってしまいます。他にも鍛冶などの未実装のまま放置されているものがいくつかあるようで、願わくば更新して欲しいとは思いますが...
    とはいえ、作者様の初めての完成作品という事や、一度は完成させた終盤のシナリオを白紙に戻して作り直したり、ゲームの開発期間などを考えると、これだけの長編シナリオをひとまず完成させるだけでも大変の苦労と労力が伺えますので、作者様の技量には感服するばかりです。これがフリーゲームだと言うのですから、プレイする身としては頭が上がりません。もっと知名度があれば、きっと今以上に話題の名作になると思います。


    ここまで長々と書いた結果、作者様向けのコメントなのか通常のレビューなのかよく分からなくなってしまいましたが、結論から申し上げますと...
    【総評】
    ストーリーを楽しみたい、そして戦闘が嫌じゃない人にオススメします。
    一生に一度はプレイしてみてほしい感動する名作ゲームのひとつだと自信を持って言えます。
    マップ中を探索して、全てのNPCに話しかけ、隠し通路を見つけてすべての宝箱を開けよう!
    何かあるたびに"チャット"や"アストリアタイムズ"の確認も忘れずに!